29人が本棚に入れています
本棚に追加
世界は、誰かの願いを打ち消して成り立っている。誰かの野望は、否応無しに誰かの希望を踏みつぶすものだ。
全ての人の願望は同時には叶わない。百か千か、はたまた十か万か。一か零か。
『システムエデン、起動シテイマス』
多くの願いを叶えるために少数の願いを切り捨てるか、否か。逆に少ない願いを叶えるために、多数の願いを切り捨てるか、否か。
そんなメビウスの輪にも似た押し問答を繰り返して、歴史が作られてきた。勝者は自らの野望を誰よりも多く叶えている。
だからこそ勝者として歴史に名を刻み、君臨した。
平穏は何処にも無い。だからヒトは皆、それを求めて彷徨う。争いの無い場所が何処にあるというのか。
『システムエデン、インストール完了。プログラムノシミュレートヲ実行致シマス』
誰もが皆、忘れてはならない。自分と他人を隔てる絶対的な壁は壊すことが出来ない、と。
そして、真実の理解は誰にも出来ない。ヒトによって事象の理解はそれぞれ異なるからだ。
安全が何処にある。
安心が何処にある。
安定が何処にある。
死の無い世界など、有り得ない。
物事の始まりは全て、エゴである。
最初のコメントを投稿しよう!