operate‐1 世に旧る限り

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  「周防。これが終わりなんですか」  白が重なって連なって、二人の体温を奪っていく。周防は桔梗に微笑みを向けると、彼女の髪に積もる雪を払いながら撫でた。 「違うさ。終わりはもっと先にある。終わりには、何も無いんだ。アイツは、そう願った」 「アイツとは誰ですか」 「世界を終わりにした奴さ」  桔梗が首を傾げると、周防は北に向かって歩き出す。慌てて立ち上がり、桔梗は周防の後を追った。 「オルクスは、何をしたのですか」 「文明を壊したんだ」 「何故、壊したんですか」  二人は歩き続ける。  宵の刻が着々と近付きながらも、寒さに煽られながらも。  迫りくる夜闇が世界を白から黒へと化していた。深く深く、暗い黒に。 「オルクスには心が無かった。だから、ヒトは心を造ってオルクスに与える……けれど、それは正常には動かなかった」 「それは、どういうことですか」  薄闇に染まる周防の表情が翳(かげ)るのをジッと見据える桔梗に、彼は苦笑を漏らす。 「壊れて、しまったんだよ。彼らの心が……いや、故意に壊されたと言うべきかな。彼らは心を求めて暴れ回った」 「それで文明を壊したんですか」 「そうだよ。最終的に文明を終わらせたのはアイツだけれど」  桔梗は瞬きを繰り返しながら、周防の言葉を聞いていた。  
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