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俺が通っているのは県内で特に頭が良い高校という訳でもなく、かといって悪い訳でもない、言わば普通の高校。しかし、やたら制服に凝っていて無駄に人気が高いらしい。
学校へ着くと海奈の方は全速で走りすぎたらしく倒れそうなくらい息を切らしていた。
「おぃおぃ、大丈夫か??」
「はぁ…はぁ…ぁこのくらい大丈…夫に決まってるわよ…。」
息を切らしながら海奈は答えた。
「あんまり無理するなよ。性格の割りにお嬢様育ちなんだから。」
「うっ…うるさいわねっ!」
はぁ、こいつへの接し方は長年の付き合いだが未だにわからんな。
「おーっす!なんだまた朝から夫婦喧嘩か?ん??」
後ろからいきなり話しかけられた。
「うおっ!なんだカズじゃんか。」
カズってのは加藤和夜のあだ名で俺とは中学からの親友。
「なんだ?夫婦喧嘩はもうおわっちまったのか??」
ニヤニヤしながらカズが聞いてくる。
「おぃ、俺はこんなのと結婚した覚えなんかねーぞ!」
「ちょっと、なによそれ!私だってこんなへたれと結婚した覚えなんか無いし死んだってしたく無いわよ!!」
「なんだとー?」
「なによ?」
海奈とにらみあいになる。
「はいはいはい、そこまでねー!たっく、いっつもこの調子だなお二人さんは。」
すかさず、カズが仲裁にはいった。
「まったく、カズは俺と海奈がこうなるのを知っててやるからたちが悪いな。」
「そいつはどうも😃」
カズは万遍の笑みを浮かべて言った。
「おい、今のどこに褒められたって要素があるんだよ!」
俺は、少々怒りを抑えながら言った。
「おいおい、別に怒らせに来たわけじゃないんだぜ。今日はお前に情報を持ってきたんだ。」
そう言って、カズはニヒルな笑みを浮かべる。
「ほーお、どんな情報なんだ?」
カズが持ってくる情報なんていつもろくでもないことだったので、俺は無関心に聞いた。
「それがよ、どうやら転校生が来るらしいんだ。」
それは、今までになくなかなかの情報だった。
「へぇ、それって性別は?」
「お!?尋がくいつくなんて久しぶりだな。」
ニヤッっと一回笑ってからカズは続けた。
「性別は女だぜ。」
カズは笑いが止まらなそうだった。
「ふぅん、ほかにわかっててることは無いのか?」
「無いな。」
きっぱりとカズが言った。
「はぁ。ないのかよ。」
「まぁ、朝のHRの時にわかると思うぜ。」
「それもそうだな。」
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