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プロローグ
真っ暗な部屋に一人、ヒトがいた。
真っ暗というよりは、ブラインドを降ろしてわざと暗くしているのである。
その暗さのせいで、そのヒトの姿は良く見えない。
「前回からもう六年もたったのか……。
時間が立つのは早いものだ……」
机の前に設置してある椅子に座り込み、目の前においてある封筒に目をやる。
とりわけ、何のおかしな点すらも見られない、便箋用の茶封筒。
それは、13枚あった。
蓋はしっかりと糊付けされており、誰かが作意を持って望まない限りは決して開く事はない。
何故か不思議な事に、宛名は書いてあるのに宛先は書かれていなかった。
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
「――――様」
宛名の数は、茶封筒と同じくきっちり十三人分。
一つだけ例外はあったが……。
しかし、不思議だったのは宛名が書かれていない事だけではない。
――――の名前が、書かれていないのである。
このヒトのミスか――或いは――……。
「さて、今回はどうなるか。
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