プロローグ

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とても見物だ。 見物しか出来ないのが、ワタシには心許ないのだが。 残念だ実に残念だ。 が、しかしまあ見るだけでも楽しめそうなのは確か、か……。 今回は中々癖のあるメンバーが揃っているな。 ワタシの時とは大違いだ」 そのヒトは、封筒の枚数がきちんと十三枚ある事を確認し終えると、おもむろに席を立った。 窓際に近付き、ブラインドに指を引っ掛け隙間から階下を見下ろした。 私服姿の男女がちらほら。 この近くにある上尾学園の生徒達だろう。 上尾学園は、中等部と高等部が一つになったエスカレーター式の、一貫性の学校だ。 生徒数は千をゆうに超え、中々気風の良い学校として有名である。 歩く生徒達の姿が実に平和そうだ。 「まったく……おめでたい連中だ。 この世界に平和な場所なんて存在しない。 存在する平和は全て仮初めだ。 それに気付かない愚か者ども……」 安っぽい紙巻煙草を取り出して、火をつけた。 「さあ、ゲームを始めようか。 マジック・アーツを――」 そのヒトは高らかに、そう宣言した。 平和を破壊する、悪意に満ちたゲームを。 人の欲望を無惨にも垣間見せる魔性のゲーム。 ゲームスタートだ。
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