218人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
空の青だけを映していた窓に地の色が混っていく。青は薄くなり、車輪が地に着く衝撃が走った。
ブレーキの音と共にシートベルトが少しメタボな腹に食い込む。
あぁ南国。無事楽園に舞い降りましたよ。
安堵の表情を浮かべる俺に、編集長も笑顔を見せた。
とりあえずホテルへ向う為、空港を後にする。
空港の外はさすが南国といった感じでヤシの木が揺れ、湿度たっぷりの重い空気が体に纏わりつく。
「さすがに暑いっすね」
「綺麗に焼けるかなぁ」
「本当に仕事かよ?遊ぶ為に来たのか?」
「仕事は明日から。今日は……下見よ!」
そう言って意気揚々とタクシー乗り場へ向う編集長。
タクシー乗り場には数台が待機し、運転手が外で団扇を扇ぎながら談笑している。南国の運転手は半袖なのか……しかもアロハ。
仕事は明日からか。なんだかテンション上がって来たぁぁぁ!
小走りで編集長を追い抜きタクシーまで走った。
最初のコメントを投稿しよう!