一路南国へ

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空の青だけを映していた窓に地の色が混っていく。青は薄くなり、車輪が地に着く衝撃が走った。 ブレーキの音と共にシートベルトが少しメタボな腹に食い込む。 あぁ南国。無事楽園に舞い降りましたよ。 安堵の表情を浮かべる俺に、編集長も笑顔を見せた。 とりあえずホテルへ向う為、空港を後にする。 空港の外はさすが南国といった感じでヤシの木が揺れ、湿度たっぷりの重い空気が体に纏わりつく。 「さすがに暑いっすね」 「綺麗に焼けるかなぁ」 「本当に仕事かよ?遊ぶ為に来たのか?」 「仕事は明日から。今日は……下見よ!」 そう言って意気揚々とタクシー乗り場へ向う編集長。 タクシー乗り場には数台が待機し、運転手が外で団扇を扇ぎながら談笑している。南国の運転手は半袖なのか……しかもアロハ。 仕事は明日からか。なんだかテンション上がって来たぁぁぁ! 小走りで編集長を追い抜きタクシーまで走った。
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