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結乃は走って滑り台に上った。
「……よし! いっけー!」
結乃が飛ばした紙飛行機はきれいな放物線を描いて、僕の紙飛行機が刺さった木をさらに越し、公園の草むらに軟着陸した。
「うそ……負けた」
僕はがっくりと肩を落とした。
結乃はうれしそうに飛び跳ねていた。
「すごい! 今の見た? あんな飛ぶなんて信じらんない! ……あれ? なんか胸が変な感じする……」
結乃は胸を軽く押さえている。
「誰か好きな人でもいるの?」
僕が言うと、結乃は真っ赤になって反論した。
「なっ……! なに言ってんの! 悠平のばか!」
空を見上げると、そこにはきれいなあかね空が広がっていた。
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