愚かで憐れな人

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愚かで憐れな人

辛い 苦しい メンドクサイ… 何故私はいつも笑っているのか? 笑う必要はどこにあるのか? 辛い辛いツライ… 乾いた音は 誰かに届くことも叶わず 何処かへ消えていった いつものように仮面を被り いつもと同じ笑顔を見せる 愚かなる人は 仮面の存在を知らない 故に仮面の中を見たことがない 気付きもしない 気付こうともしない それが本物だと信じ続けている あぁ何て憐れな人達だろうか くつりと 小さく喉を鳴らしてみせる 仮面の中を見た事が無いくせに 私の本性を知った気でいる それらを愚かだと叫びながらも それに救いを求める自分が居る 矛盾 脳裏に一つの言葉が浮かび上がる あぁ… 思考がドロドロと溶けていく 固体のままなら 何も考えずに済んだモノを… 想いとは裏腹に 思想がただれ落ちる 愚かだと 呟いた音は仮面の内で籠り 静かな闇へ溶けていった 孤独な闇 誰もイナイ ではこの音を 囁き続けた相手は? ふいに問いた疑問が脳裏を支配する ドロリと あぁ… また思考が溶けていく いっそのこと 脳を冷凍しとけばよかったかもしれない 馬鹿らしい論理に くつりともう一度喉を鳴らした 本当に 愚かで 憐れなのは 私自身だ
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