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「今日は長く居られるよ」
ヒロは腕時計を外してテーブルに置いた。
「昨日は淋しい想いをさせちゃったからね」
「優しいのね」
電気の光を受けてキラッと光る時計を見ながら呟く。
「意地悪な言い方だな」
後ろから抱きしめながらサヤの顔に頬を寄せた。
「そう?」
ヒロに身を任せるようにもたれる。
「俺は弱いから…いじめると来なくなっちゃうぞ」
(ずるい人ね…)
口にしたら帰ってしまいそうな言葉だ。
自分を責めれば帰るのね。
だってあなたには帰る場所があるもの。
私は待つしかないのに。
あなたはずるいわ…
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