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おかえりなさい。兄さん
由夢『夢?』
自分の声がどこか遠くに聞こえる。
わたしが見る夢は――。
風が吹いた。
開け放たれたままの窓。
そこから春の風に煽られて一枚の桜の花びらが舞い込んだ。
由夢『………あっ。』
校門のところ。
わたしがいつも兄さんを待っていたところ。
そこに人影を見つけた。
視界が霞んで、よく見えない。
わたしは勢いよく席を立った。
由夢『はぁ、はぁ、はぁ……』
廊下がいつもより長く感じる。
胸の鼓動がいつもよりも激しい。
由夢『んっ…とっ!』
階段を一段飛ばしに駆け下りる。
お姉ちゃんに見つかったらまた叱られそうだけど、今はそんなことなんて気にしてられない。
靴に履き替えるのもまどろっこしいくらいの気持ちでわたしは外へ飛び出す。
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