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最初に目に飛び込んできたのは赤。
夕焼けの赤。
夕焼けはあまり好きじゃない。
嫌でもあの風景を思い出すから。
兄さんと別れた最後の日を――…。
ても、今は夕焼けが好きになれそうな気がした。
その赤色がやさしく降り注いでいた。
早くあの場所へ、
ふたりがいつも待ち合わせいたあの場所へ。
わたしは走る。
嬉しくて涙がこぼれて、久しぶりに見せる顔にしてはめちゃくちゃになってしまっているけど。
でも、そんなの気にしない。
校門のところ。
久しぶりに見た、見慣れた人影が小さく手を振った。
言いたいことがいっぱいあった。
こんなにもわたしを悲しませて
こんなにもわたしは好きにさせて。
言いたいことはいっぱいあるけどそんなの全部どっかに飛んでいってしまった。
わたしは叫ぶ。
ただ一言だけ。
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