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sorrowful-現実-
瞼を刺激する赤い光で目が覚めた。
由夢『……ここは』
教室……か。
始業式の準備の手伝いに来て、教室で一休みしている間にうたた寝しちゃったみたいだ。
まわりを見回しても、もう誰もいなかった。
由夢『はぁ~』
口をついて出るのは、溜め息。
右手わ眺める。
兄さんと繋がっていた手。
でも、そこに兄さんの感触は残ってなかった。
あんな夢をみるなんて。
兄さんと手を繋いであるくなんて、そんなこと、もう二度と無いのに。
できないのに……。
由夢『……うぅ』
胸がきりりと痛む。
兄さんのいない世界。
そんな世界を二ヶ月も過ごしてきた。
永遠のように長く感じる時間。
こんな時間がこれからもずっと続くのかと思うと、わたしは挫けそうになる。
どうして諦めたりなんかしたんだろう。
あの時『さよなら』なんて言ったのだろう………
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