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あの日、わたしは兄さんを夕日で赤く染まった屋上へと連れてきた。
目に映るもの全てを染め上げ、焼き尽くすような赤、赤、赤
風に煽られ広がるスカートを軽く押さえながら、わたしは兄さんの方を見た。
自然と見つめあう形になった。
由夢『楽しかったね、デート』
義之『あぁ』
由夢『ほんと、楽しかった…夢だったんだ。ずっと。兄さんと恋人同士になるの。小さい頃からの"夢"』
兄さんへの思いを口にするとだんだん悲しくなる。
由夢『……でも、やっぱりそれは夢で、わたしはね、ずっと諦めてたの』
悲しくて苦しいでも…
由夢『だって、わたしの望みは叶わないんだもん』
伝えなきゃ。
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