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彼は榎本 草【えもと そう】。
ヤクザの一家の、将来を有望視されている長男だ。
この学校には、喧嘩の強さと統率力を認められて入学した。
赤く染められた髪に、大量に付けられたピアス。
ジャラジャラと揺れるシルバーアクセサリーが似合っている。
強面でぶっきらぼうだが、面倒見が良く、正義感が強い。
彼もまた鵬帝メンバーだが、他のメンバーとは異なって、表立って騒がれる事は無い。
しかし彼は男女問わずに人気がある。
彼は騒がれるのが苦手で、以前すごく騒がれた時に逃走したらしく、それ以降ひっそりと大人気なのだ。
「草は朝っぱらから眠そうだね」
欠伸を噛み殺す草を見て水城がそう言うと、草は横目で水城をじろりと見た。
「誰のせいだよ…ったく、人使いの荒い…」
「ごめんって。でも助かったよ。ありがとう」
水城がにっこり笑って…まあ、髪に隠れて口元しか見えないが…お礼を言うと、草は水城の頭をがしがしと撫でた。
「うぎゃ!?何するのよ…髪ぐちゃぐちゃになるし」
「今更じゃねぇか…。まあ良い、俺また寝るから、昼休みに起こしてくんねぇ?」
「ん~…わかった」
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