第1章~天才の中の平凡?~

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「行ってきます」 普通の住宅地にある一軒家。 そこからそう言って出てきたのは、少し小柄な少女だった。 寝癖でぴょこんと跳ねた、肩を少し過ぎる程の黒髪に、黒縁の眼鏡。 顔は長い前髪に隠されている。 彼女は土谷 水城 【つちや みずき】。 今年で15歳になる、高校2年生だ。 この辺りで…否、この国で最も有名な鳳凰学園に通っている。 ある種のステータスシンボルである学園の制服はを着ており、ちょっとした有名人だ。 その白を基調に、青と銀糸でさりげない装飾を施した制服に憧れて、受験に挑戦する人もいるという。 まぁ…彼女は全く気にしていないが。 気にしていたら、もう少し寝癖を何とかしてるだろう。 彼女はいつもの通学路を、マイペースで歩いていく。 てくてくてく。 てくてく… 歩き続けていた水城たが、ふと何かに気づいたように足を止めた。 その視線の先を見ると…いかにも高級~って感じの黒い車が走って来ていた。 別に高級車に興味があるわけではないようだ。 髪に隠されていて見えないが、しかめっ面をしているみたいだし。 「はぁ…またか」 疲れたような、呆れたような溜め息をつき、立ち止まって車を待った。
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