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だが栗華はそんな視線もなんのその。
「ほら、早く乗らなきゃ授業遅れちゃうよ」
水城の腕をはしっと掴んで、ポイッと車に放り込んだ。
「ぅわ!?」
水城の驚きの声もスルー。
すぐに水城に続いて車内に入り、ドアを閉めた。
車はゆっくり走り出し、徐々にスピードを上げていく。
水城は諦めて大人しく座り直し、窓の外を眺め始めた。
流れていく景色は、住宅地を抜け、街中へと変わっていった。
(最初は電車通学だったんだけどな…)
ぼぅっとしながらここ数ヶ月の事を思い出す。
水城は一般家庭に生まれた一人っ子で、特に目立った事も無い平凡な暮らしをしていた。
学校だって、本当は普通の私立に通っていたのだ。
しかし高校も1年目を終えたある日、突然学園からスカウトが来て鳳凰学園に入学を進められた。
最初は断っていたが、学費を全額免除してくれるという事と、学園の代表が言った言葉で転校を決めたのだ。
だが、学園に入学したものの周りはみんなエリートとして育った人だ。
最初はなかなか馴染めなかった。
しかし、幸か不幸か彼女は意外な人たちに懐かれる事となる。
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