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車が止まったのは、そのお城のような建物の前だった。
これが校舎である。
特別教室や、部室なんかはまた別にあるが、基本的に学生は殆どをこの建物で過ごす。
東西南北にそれぞれ一つの棟があり、
東…幼稚園、初等部
西…中等部
南…高等部
北…大学、大学院
という教室の位置になっている。
全て渡り廊下で繋がっており、さらにはエレベーター、エスカレーター共に完備といった充実の設備だ。
彼女達が降りた建物は、南にある高等部用の建物である。
「あ!ほら、栗華さんよ」
「素敵ねぇ…」
「暁仲さん…朝から拝見できるとは」
「やっぱ綺麗だよなぁ…」
栗華を見つけた生徒が騒ぎ出す。
しかし、栗華は慣れているのか大したリアクションも返さない。
「じゃあ、教室に行こっか」
水城の手を掴んで歩き出す。
そのせいか…水城には非好意的な視線が突き刺さった。
しかし水城も慣れているのか、視線の方を見ようともしなかった。
むしろそれに不機嫌になったのは栗華の方である。
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