第1章~天才の中の平凡?~

8/25
前へ
/31ページ
次へ
「何か?」 睨むように水城を見ていた女の子達に、無表情の栗華が質問する。 副音声だと 何か文句あんのかよ? って感じだろう。 しかし栗華に声をかけられた女の子達は、話しかけられた事に喜び、栗華の怒りに気づかない。 栗華がそれにますます怒りを募らせ、本気で怒鳴りそうになった時… ぎゅっと、繋いでいた手に力が込められた。 水城が宥めようとしているのはすぐにわかった。 それで栗華の怒りは少し収まったが、一つ言いたいことがあった。 「私は水城と居たいの。文句があるなら私に直接言いに来なさい」 そう言った栗華に、周囲は疑問を込めた視線を向ける。 家柄、能力共にトップクラスの栗華が、何故平凡な…この学園の中では落ちこぼれの水城に固執するのか、と。 多少は異なるものの、栗華が水城と登校して来て、それに生徒が疑問を持つ…これは最近ずっと繰り広げられる朝の風景だった。 今日は、初めて栗華が水城を守る発言をした。 これまでは水城が宥めて終わっていたのだ。 いつもと異なった朝の風景。 しかし…今日はここにもう一人参戦する者が現れる事となる。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加