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「何か?」
睨むように水城を見ていた女の子達に、無表情の栗華が質問する。
副音声だと
何か文句あんのかよ?
って感じだろう。
しかし栗華に声をかけられた女の子達は、話しかけられた事に喜び、栗華の怒りに気づかない。
栗華がそれにますます怒りを募らせ、本気で怒鳴りそうになった時…
ぎゅっと、繋いでいた手に力が込められた。
水城が宥めようとしているのはすぐにわかった。
それで栗華の怒りは少し収まったが、一つ言いたいことがあった。
「私は水城と居たいの。文句があるなら私に直接言いに来なさい」
そう言った栗華に、周囲は疑問を込めた視線を向ける。
家柄、能力共にトップクラスの栗華が、何故平凡な…この学園の中では落ちこぼれの水城に固執するのか、と。
多少は異なるものの、栗華が水城と登校して来て、それに生徒が疑問を持つ…これは最近ずっと繰り広げられる朝の風景だった。
今日は、初めて栗華が水城を守る発言をした。
これまでは水城が宥めて終わっていたのだ。
いつもと異なった朝の風景。
しかし…今日はここにもう一人参戦する者が現れる事となる。
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