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ミラのしたいこと、それは、
『人前で自分を表現する仕事をしていきたい』
ただその一言に尽きるのだった。
人前で表現することと言ったって、それは数え上げれば様々な職業が挙げられるだろう。
だが、ミラの中ではおぼろげにしかそのなりたい像は実像を結んでおらず、まだ霞がかっていた。
就職の内定を貰ったとき、田舎の両親はひどく安心したのに、ミラはふいに、会社員という仕事に魅力を感じなくなってしまったのだった。
あれだけ苦労して内定を貰ったのに、いとも簡単に断ってしまって、娘は何を考えているんだ、と父は母に怒鳴りもしたようだったが、娘はケロリとしながら、人生を泳ごうとしていく。そんな姿を見ると、それ以上、両親は何も言わなくなった。
ミラの両親は、どうやら、子供が明るく元気に一生懸命頑張っているならばそれで安心する単純な健全さを兼ね備えているらしい。
その親の単純な健全さを見事に引き継いだミラは、直感の赴くまま、行きたい方へ、行きたい方へと向かっていくことに決めたようだ。
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