第一章 フィーネとの出会い

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日本の大都市東京。そこに一人の男がいた。 彼の名前はマモル・31歳・男性。 彼は幼い頃から、勇者に憧れていた。心強い仲間に囲まれ、邪悪な敵を倒し、世界を救う勇者。そんな勇者に自分もなりたいと心から願っていた。 中学・高校の頃からずっと、進路志望に記入する第一希望は勇者だった。 しかし勇者への道は厳しく、高校を卒業してから、進学先に勇者になる大学や専門学校はなかった。もしやと思い求人広告を探したが、勇者という就職先も見つかる事はなかった。 もしかしたら俺は勇者になる運命ではなかったのかもしれない。彼はそう思い、勇者になるのを諦めた。大学に入り、卒業後は自宅から近場の銀行に就職。しかし勇者になりたかった彼にとって、銀行での仕事に情熱を持てずに、一年で辞めてしまった。その後、居酒屋・ファミレス等でのアルバイトを転々とし、現在に至っている。 そんな彼マモルは今年で31歳、一人暮らしで安アパートに住み、今はコンビニでのアルバイトにより生活をやりくりしている。彼は高校卒業の時に諦めたはずの勇者への道を、まだ心のどこかでくすぶったまま、日々を過ごしていたのだ。 やけにセミのうるさいある夏の夜、コンビニでの仕事が終わり、家でビールを飲んで彼は考えていた。俺ももう31か、勇者の相場は本やゲームでは20歳から25歳くらいだよな。30歳を越えるとなぁ~、、、ベテランの武闘家のポジションくらいしか空いてないんじゃないかなぁ~。 そんな出口の無い事を一時間くらい考えた後、彼は布団に入り、そして眠りについた。 その夜、一人の女性の声で目が覚めた。 起きなさい、マモリよ。 マモルはビックリしてあたりを見回した。しかし、あたりには誰もいなかった。気の性だと思い、もう一度眠りにつこうとしたその時。 起きなさい、マモリ。 これにはマモルもビックリだ。もう一度おきて辺りを見回す。すると、台所のフライパンの上にスクワットをしている女性を発見した。 突然の事に唖然とするマモル。 そんなマモルに対し、その女性は言った。 私の名はフィーネ、略してフィーよ。 マモルは、こんなありえない状況で冷静に思っていた。フィーネという名前を略す必要性はあるのかと。そして俺の名前をマモリと間違えている。 それがフィーネとの出会いだった。
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