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「………キス…と」
「…ん?」
なんか、横の方からブツブツ呟く声が聞こえてくる。
…颯太か?
お経唱えてるみたいに見えるけど、何て言ってるんだ?
耳をよぉーく澄まして聞いてみる。
「…王様と4番がキス。王様と4番が…」
颯太が握りしめている割り箸の先には、4、と小さく書いてある。
颯太、お前…。
キモいとか、恐いとか、痛いとかよりも…。
切ねぇよ…。
虚しいよ…。
同情の眼差しで、呟き続ける憐れな男を見つめる。
願い、届くといいな。
「じゃあ、4番と~…」
おっ?
4番が呼ばれた。
もしかするともしかするか?
「…2番がキス!」
ありゃりゃ。
王様とじゃねぇのか。
明らかに肩を落とす奴が、チラッと横から見えた。
「4番と2番誰だ~?」
「春香何番だった!?」
春香ちゃんが2番じゃありませんように。
俺より先に颯太となんか、キスしませんように。
『私、7番』
ホッ。
よかった。
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