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美羽に会う前に、もう一度電話をかけてみる。
『…やっぱり繋がらない』
考えてみたら私、アイツのこと何も知らない。
住んでる所、好きな場所。
知ってたら探しにだって行けるのに。
「春香」
ファミレスには、美羽の方が先に着いていた。
隣には颯太君が座っている。
「直接聞いた方がいいかな、って思って呼んどいたの」
『そうなんだ。ありがとう』
二人の向かい側に座り、飲み物を適当に注文して話に入る。
『アイツ…隆二、電話もメールも繋がらないんだけど、颯太君何か知らない?』
「…ごめん、知らない」
意外な答え。
颯太君なら、絶対知ってると思ったのに。
「本当に知らないの?」
もう一度美羽が尋ねる。
「うん…」
「言えないんじゃなくて?」
美羽の問いに、颯太君の動きが止まる。
明らかに様子がおかしい。
「口止めされてるんじゃないの?隆二君に」
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