★走る

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『馬鹿隆二ーっ!』 何回も呼ぶ。 こっちをチラチラ見てくる人、クスクス笑っている人。 たくさんの人がいるのに、アイツの姿はない。 やっぱり、だめなの? 『馬鹿ー!』 馬鹿、ってつけたのは、小さな私のプライド。 『っ…出てきなさいよ!馬鹿隆二ぃっ!』 今までの中で、一番大きな声。 精一杯、私の全力。 お願い、届いてっ… 隆二は、現れなかった。 時間… 気づけば、あれから30分経ってしまっていた。 飛行機…行っちゃった… 間に合わなかったんだ… 身体中の力が抜け、その場にペタン…っと座り込む。 だめだった。 遅かったんだ。 もっと、もっともっと私の足が速かったら…。 『…っく、ひっ…』 我慢してた涙が、頬に伝っていくのを感じた。 ハラハラと、次から次に溢れ出して、止まらない。
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