視線

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「ゔ~いやだぁ~」 奏はまだごねていた 『ほら、行くよ』 「だって」 『王子が踊らないと、始まらないだろ』 「むぅ」 渋々立ち上がる ダンスは必死に特訓して 何とか見せられるようになった 『奏…』 「ん?」 『足踏んだらごめんね』 「大丈夫だよ」 奏にリードされながら 踊る ダンスは好き 奏の顔を近くで見つめる事ができるから 「そんなに見つめるな」 『ダメ?』 「いや、ダメじゃないけど…照れるだろ」 『奏も照れる事があるんだ』 「当たり前だ…いつも 照れてる」 『知らなかったな』 「言わなかったし」 『クスッ』 「奏、姫をよろしいですか?」 「やだ!」 「おぃ!」 「はじめまして、パール国のアレンです」 『はじめまして、空です』 「空…手を握らなくてもいいからな」 「奏…ほら、王子目当てのレディが待ってますよ」 そう言って笑う 「行きましょう」 手を引かれてアレンと踊る 「噂通りだな」 『えっ?』 「奏がなかなか紹介したがらない訳だ」 『ごめんなさい』 「いや、奏が悪い!」 『クスッ』 「愛されてるんだね」 『はい』 「あ、羨ましい!」 『アレン王子もモテるでしょ?』 「モテても理想の女性はなかなかいないものだよ」 『そうなんだ』 「はぁ…ようやく理想の女性に出会えたと思ったら、奏の姫だったとは」 『お会いするのは初めてですよね?』 「前に一度だけ会いましたよ」 『えっ…』 「いや、知らなくて当たり前、私は馬車の中でしたから」 『じゃ、会ったとは言えませんね』 「確かに」 アレンはとてもいい人みたいだ 「奏の奴…睨んでるし」 『気にしなくてもいいですよ』 「してません」 『クスッ』 話もとても楽しかった でも… 奏の顔が怖かった(笑)
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