見知らぬ国

9/25

1678人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
「空は今頃何をしている…?」 城を抜け出して 近くの浜辺に来ていた この海の向こうに 空はいるのか… 気が遠くなる程の距離に阻まれる 空の顔をもう何日見ていないんだろう 空をもう何日抱きしめていないんだろう 「声が…聞きたいよ」 空を想うと胸が苦しい 逢えないと思うと胸が痛い 「忘れる事なんて、出来るわけがない」 そんな事は最初から わかっていたのに 歌う事も忘れてしまいそうだよ だって 空がいなければ歌えないだろ? お前の為に俺は歌うんだから 「奏…」 「うん」 「逃げてきたの?」 「ああ」 「やっぱり…昔から奏は何かあるとここに来てたからね」 「だな」 「お妃選び?」 「そろそろ逃げ場がないな…」 「そうだね」 「空以外は愛せないのに…」 「もう少し、延ばしてみるよ」 「悪いな」 「気にしないで」 昔から楓は助けてくれていた 本当にいい友達だ いや、友達以上のもので結ばれている 「そろそろ戻らないと」 「そうだな」 空を見上げながら今日も祈る 奇跡がおこりますように……
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1678人が本棚に入れています
本棚に追加