見知らぬ国

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何日も島を探し回った 船が見つからなければ、先には進めない 「クゥ、船が見つかったぞ」 『本当?』 「ああ…これでまた先に進む事が出来るな」 『うん』 よかった… でも…何だかすごくだるくて、立っているのもやっとだった 「クゥ?」 『あっ…ごめん』 歩きだそうとしたら 足がもつれた 「大丈夫か?てか、すごい熱じゃないか!」 『熱?だからだるかったんだ』 「お前…何故言わないんだ」 『だって、凱も早く楓に会いたいでしょ?』 「ばぁか!病気になって会う前に日本に帰る事になる方が悲惨だよ」 『ごめん…』 「いいから、もう喋るな」 凱は俺を抱き上げて ホテルに戻った フロントで何か話しているけど、全くわからないや 「クゥよく聞け…この島には、怪しい薬草と 怪しい呪術師しか病気を治す手段がないみたいだ」 『えっ…ヤダ…その前に命が…』 「さぁ、選べ!」 『えっ…(泣)』 「なんてな…とにかく 部屋で寝ろ」 よかった… 『ごめんね』 「気にするな」 凱は解熱剤を飲ませてくれた 「多分、神経がもたなくなったんだな」 そういって 髪を撫でてくれた いつも奏が優しく撫でてくれた事を思い出す 「心配するな…必ず会えると信じろ」 『うん』 凱も辛いはずなのに… 俺の心配をしてくれる 俺はダメだな… 凱の足を引っ張るばかりだし 「余計な事は考えなくてもいいよ」 『……うん』 「ちゃんとここにいるから、少し眠れ」 『うん』 凱の手はすごく心地よくて 薬が効いてきたのか すごく眠くなって… 眠りに落ちていった 「可哀相にな…」 もう体も心も限界だったのかも知れないな そりゃそうか… 俺達は出口の見えない 迷宮でさ迷ってるようなものだしな… 楓…お前の笑顔で出口を教えてくれよ 奏…お前の歌声で、空を導いてくれよ 俺も 限界だよ…
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