見知らぬ国

18/25

1678人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
次の日の朝は、ムカつくような晴天だった 『凱、もう大丈夫だから出発しようよ』 そっか… クゥは何も知らないんだ 奏の居る島まで3日かかる事も… そして、あさってには 奏のお妃選びがある事も 「クゥ…もう少し休め」 『えっ…だって…』 「大丈夫だから、ゆっくり休んでおけ」 そう… 奏にちゃんとさよならを 言えるように… 『わかった…』 ダメだ… クゥを見ていられない 先に話してしまおうか? ダメだ… そんな事をしたらクゥは… 「ちょっと、新聞を買ってくる」 『うん、気をつけてね』 「絶対、部屋から出るなよ」 『わかった』 クゥの頭を撫で、部屋を出た 行く場所なんてない ただ、部屋に居るのが 辛かった ホテルを出て、港に向かう もう、急ぐ事はない クゥの体調がよくなってから、奏達の居る島に行けばいい 「離して!」 「?」 「ちょっとくらい付き合えよ」 「やめて!」 「痛い目にあいたくなければおとなしくしろ!」 「嫌!誰かっ!」 どこの国でも 馬鹿な奴はいるんだな… 「やめろ」 「なんだ貴様?」 「通りすがりだ」 「だったら向こうへ行け!」 「彼女を離せ」 「うるさい!」 やれやれ… 「テメェ、やるのか?」 「暴力は嫌いだ」 「怖いのかよ」 「暴力は嫌いだから… 手っ取り早い方法で」 そう言って護身用に購入した拳銃を向けた 「なっ!なんだ…」 「3秒待つ」 男達に拳銃を向けて 数を数えた 「3、2…」 「や、やめろ!クソッ、覚えておけ!」 笑える… どこの国でも言う事は 同じとはな… 拳銃をしまい、歩き出した 「あっ、待って!」 「?」 「ありがとうございました」 「ああ…いいよ」 「いえ、貴方は命の恩人です」 「大袈裟な」 「本当です…私は来週、結婚するんです…もし貴方に助けてもらわなかったら私は今頃…」 そう言って俺の腕を掴んで、震えながら泣いていた
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1678人が本棚に入れています
本棚に追加