見知らぬ国

19/25

1678人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
「大丈夫か?」 女性が落ち着くまで 黙って傍に居た 「はい…本当にありがとうございました」 「もう大丈夫だな…気をつけてね」 「あっ!」 「?」 「何かお礼を」 「いいよ」 「駄目です…私がお父様に叱られてしまいます」 「だったら言わなければいい」 「いけません…何でも言って下さい」 腕を掴んだまま、俺を見つめていた 「ごめん…今俺の欲しいものは無理なんだ」 「無理?何故ですか?」 「俺の今、1番欲しいものは…飛行機かヘリだから」 「どこかへ行かれるのですか?」 「ああ、あさってまでにどうしても行きたい島があったけど、船では3日かかるから間に合わない」 「どこへ行きたいのですか?」 話しても無駄だと知りながら、地図を広げて 島を指差した 「あさってと言うと… 確か王子のお妃選びの日ですね」 「知ってるのか?」 「はい…」 「そっか…だからわかったろ?」 「わかりました」 「うん…じゃ」 「明日、連れていってあげます」 「えっ?」 「セスナしかありませんが、多分1日で行けるはずです」 「セスナを…貸してくれるのか?」 「はい」 この女性の言う事は どうやら本当みたいだ 「本当にいいのか?」 「もちろん」 夢みたいだ 「では、明日空港で」 「ああ」 夢みたいだった 急いでホテルに戻る 早くクゥに教えてあげよう
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1678人が本棚に入れています
本棚に追加