見知らぬ国

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急いでホテルへ戻った こんな、夢のような事が現実に起こってしまうなんて 「クゥ!」 『どうしたの?』 「明日出発だ」 『わかった』 「それから…」 やはり、教えておいた方がいいのだろうか… 悩む… 『どうしたの?』 「ん、ああ…明日、セスナに乗せてくれる人が居たんだ」 『ホント?』 「うん、だから1日で着くはずだよ」 『やった!凱、ありがとう!』 クゥは素直に喜んで 抱き着いてきた でも俺は… その眩しい笑顔が 痛かった どうしよう… 『凱、その親切な人の名前は?』 「あっ…聞いてない」 『えっ…?』 そうだった 名前も時間も聞いてなかった もし、嘘だとしたら… また悲しませてしまう 「取りあえず、朝空港に行ってみよう」 『うん』 そうだよな… 助けたくらいでポンッとセスナを貸してくれる人なんて普通いないよな… 『凱?』 「うん?」 『疲れてるんじゃない?』 「いや…」 『でも…俺、全部凱に頼って任せてるし…なんかごめんね』 「気にするな」 『いつも迷惑かけてるし』 「いいから」 『うん…』 「せっかくだから、外に出てみるか?」 『うん』 クゥを連れてホテルを出た 『すごく綺麗なところだね』 「そうだな」 しばらく歩き、浜辺に たどり着いた 『海の色が凄く綺麗』 「だな」 日本では見ることの出来ないような色をした海 エメラルドグリーンの海 『凱のピアスと同じ色』 「ああ」 「おい、クゥ!」 『ん?』 「お前、奏に貰った指輪はどうした」 『うん…』 「ん?」 『あの指輪は奏のお嫁さんがする指輪だからって…』 「取られたのか?」 『うん…奏の国でも、 同性の結婚は認められてないから』 「むかつくな!!」 『仕方ないよ…とても 大切な指輪みたいだし』 「だからお前に渡したんだろ?」 『……ぅん』 クソッ!絶対取り返してやる! かなりムカついた!
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