見知らぬ国

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『あ、あの…』 かたまるサシャに話し掛ける 「そういう事だったのね!」 突然、サシャが言う 『えっ…』 「不思議だったのよ… 何故まわりがうるさくお見合いをすすめているのに断り続けていたのかが」 『お見合い?』 「王子がたまに空を見上げながら歌う曲は、誰を想って歌っているのか、島中の人間が興味を持っているって聞いた事があるわ」 『奏が歌を…』 そっか…奏は歌をまだ 忘れていないんだ 「その相手が空雅だったのね」 サシャは頷きながら言った 『でも、どうして俺だと?』 「Skyは空…でしょ?」 『あっ…』 ダメだ 涙が…… 「大丈夫よ、パーティーには必ず間に合わせるから」 『パーティー?』 「知らなかったのね… 明日は王子がお妃選びをするパーティーが開催されるのよ」 『そん…な…』 「大丈夫だよクゥ、パーティーが始まる前に奏に逢えばいい」 『うん』 「と言う事は…凱」 「ん?」 「貴方はもしかして…」 『凱は楓の大切な人だよ』 「違う!」 『えっ?』 「楓が俺の大切な奴だ!」 『一緒じゃん…』 「やはり、そのピアスはそうだったのね」 『知ってるの?』 「もちろんよ…王子が指輪、側近はピアス、有名な話だわ」 『そうなんだ…』 「クゥは指輪を奪われたんだ…必ず取り返してやる」 「そうだったの…王子は空雅に指輪を…」 『うん…奏と同じ瞳の色の宝石』 「間違いないわね、信じるわ」 『ありがとう』 「じゃ、急ぎましょう」 『うん』 パーティーの前に奏に逢わなければ… でも、どうやって… セスナに乗り、海を渡る たくさんの島 綺麗な海 この中のどこかに奏の居る島があるんだ 奏に逢える嬉しさと 突然、俺が逢いにきた事を喜んでくれるのかな?という不安が交互に押し寄せていた 「クゥ…」 凱が頷く そうだよね! きっと、奏は待っていて くれるはずだから
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