視線

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「王子、どうしました?」 楓がやってきた 「楓、こいつに空の立場を教えてやれ」 楓は奏の言葉をすぐに理解した 「大臣、姫の左手をご覧下さい」 視線が左手に向けられた 「なっ!こ、これは大変失礼を…」 急に汗が吹き出していた 「空を金で買うだと? 次にその言葉を聞いたら…貴様の国を潰す」 「お、お許し下さい!」 「姫はどうしたいですか?」 楓が聞く 『私は大丈夫です』 「…わかりました」 楓が大臣に向かって 静かに言った 「お帰りはあちらです」 「わ、わかりました」 慌てて部屋から出て行った 「空、大丈夫か?」 『うん』 「あいつはもう出入り禁止だな」 「ああ」 『てか、楓のその話し方…まだ慣れないや』 「仕方ないだろ?」 『まぁね』 「俺だって、空を姫なんて呼びたくないよ」 『そう?俺は気に入ってるけど』 「えっ…?」 『クスッ』 「楓、カッコイイね」 「ん?」 「何だか、護られてるって感じ」 「護ってるからね」 「空」 「王子がヤキモチ妬くよ」 『ごめんね』 「俺だってほんとは殴り倒したかったのに…」 『わかってるよ』 奏の手を握る 「じゃ、行くよ」 「ああ…もう二度とタヌキ大臣を招待するなよ」 「かしこまりました」 楓は笑って戻って行った 「あっ…しまった」 『ん?』 「今日はダンスがある」 『うん』 「くっそぉ、空をあいつと踊らせたくない」 『友達だろ?』 「それとこれとは別だ」 『奏…俺は大丈夫だよ…でも、奏が他の女性と踊るのがちょっと嫌だな』 「空…」 『駄目だね…俺もヤキモチ妬きみたい』 「そんな可愛い事言うなよ…」 『ごめんね』 「もう…めっちゃ抱きしめたい」 『クスッ』 奏は俺に気を使って 退屈させないように してくれる だから大丈夫だよ
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