見知らぬ国

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次の日は、やっぱりムカつくような青空が広がっていた 「さぁ、行きましょう」 「おぅ!」 『はい!』 今日こそは奏に逢えるんだ 奏に逢えたら…殴ってやる! 王子だろうが関係ない それから たくさんたくさん抱きしめて貰うんだ… 「順調だわ…この調子なら夕方には着きそう」 「サシャ、ありがとう」 「いいのよ…実は私も興味あるし」 そう言って舌を出して笑う 『じゃ、しばらくは一緒に居てくれるの?』 「そうね…ダーリンにも会いたいし」 「えっ?」 『ダーリン??』 「ごめんね、内緒にしてて…実は、私のダーリンは城の中で楓と一緒に仕事をしているのよ」 「だから詳しかったのか…」 『じゃ、楓の事を知ってるの?』 「直接話した事はないわね…楓は常に王子と居るから」 『そうなんだ』 「じゃ、結婚したら島に住むの?」 「そうなるかしら…」 『そうなんだ、なんか嬉しい』 「じゃ、長い付き合いになりそうだな」 「かもね…よろしくね」 『こちらこそよろしく』 「仲良くしようぜぃ!」 そんな理由があったんだ 出会いってホントに不思議だな… そうだよね 俺だって、奏と出会っていなければ、今頃、日本でナンパに明け暮れていたかも…… そんな事を考えながら 苦笑した 「見えてきたわ」 サシャの言葉で眼下に見える島を探す 「どれだ?」 「小さな島の中心にあるのがそうよ」 小さな島の中心……って! 普通に大きい島なんですけど? 『えっ…あの中の小さな島じゃないの?』 「あの島もそうだけど、王子は中心の島に居るわ」 『てか…俺…いいのかな…なんか、奏に近付くのすら無理なような気がしてきた』 「簡単ではないわね」 「マジか…」 「でも大丈夫!申し訳ないけど私の連れて来た使用人と言う事にすれば、島には入れるわ」 「わかった」 『うん、頑張る』 そしてセスナはゆっくりと島に降り立つ 奏…俺、島にやっとたどり着いたよ すごく大変だったけど 奏の顔を見ればそんな苦労も吹っ飛ぶよね 早く逢いたいよ…
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