姫は誰だ?

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「やっと入国許可がおりたわ」 サシャが戻ってきた 「時間かかるんだな」 『1時間以上かかったね』 「それほどこの国は狙われやすいのよ」 「大変なんだな…」 『うん』 「さて、まずはホテルに行って荷物を置きましょう」 「わかった」 『うん』 綺麗なホテルにチェックインして荷物を置いた 「私は様子をダーリンに聞いてくるわ」 「頼むよ」 サシャは部屋に戻り、 フィアンセに電話をかけに行ってくれた 『やっと着いたんだね』 「ああ…もう一息だな」 『すごく嬉しいけど、 すごく不安…』 「大丈夫だよ、奏を信じろ」 『うん』 窓から見える景色は どこまでも広がる海と 幻想的な沈む夕陽 こんなに綺麗な島の王子なんだね… すごく遠い人になっちゃったみたいで すごく寂しい 「大変よ!」 サシャが慌てて戻ってきた 『どうしたの?』 「今夜のパーティーに、一般客は入れないって」 『えっ…』 「パーティーが終わった後じゃ、意味がないんだ」 「わかってるわ」 サシャはしばらく考えていた 「もう少し待ってて」 また部屋を出て行った 『凱…』 「考えてみればそうだよな…」 『うん』 やっぱり、奏には逢えないのかな… もう、日本に居た時の 奏じゃない事を、改めて思い知る 夕陽は沈み、海に大きな月が映る そんな景色をぼんやり見つめていたら たまらなく悲しくなったんだ…
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