姫は誰だ?

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月が見える中庭で 今までの出来事を 凱と泣きながら話した しばらくしてサシャのフィアンセもやってきた 「だけど…話を聞いた時は本当に驚いたわ」 「だろうね」 奏が笑う 「本当に、よかったわ」 『サシャ達の結婚式には呼んでね』 「必ず来てね」 『うん、必ず行くよ』 「じゃ、その後が俺達だな」 『えっ…でも、この国では…』 「法律をかえればいい」 突然、クリスが言った 『えっ…』 「そうだな、クリスはその管轄だしね」 楓は笑う 「空は何も心配しなくていいんだよ」 『うん…』 「成る程ね…王子の歌は、この可愛い姫の為だったんだね」 クリスは笑う 『歌?』 「奏は毎日、空を想って、歌っていたんだよ」 『そうなんだ…』 「今日から毎日聞かせてやるよ」 そう言いながら、優しく笑ってくれた 「だけど、空雅達と知り合わなければ、こうして王子と話をすることもなかったわね」 「確かにそうだな」 サシャとクリスは笑う 「それで、空達の荷物は?」 『ホテルに置いてあるよ』 「そうか、では後で取りに行かせよう」 『えっ?』 「どうした?」 『取り行かせるって…』 「もう空は俺のフィアンセなんだよ?」 『うん』 「しばらくは狙われる可能性があるから、俺から離れるな」 『わかった』 そっか… 奏に逢えてそれで終わりじゃなかったんだ 今日からが始まりなんだ 「空…大丈夫だよ、必ず護ってやるから」 『うん』 俺は国中の女性の敵に なったんだよね… 『凱も居てくれるよね?』 「当たり前だ!」 『うん』 みんなが居れば大丈夫 きっと…大丈夫だよね 「凱は俺と一緒に住んでね」 「わかったよ」 「と言っても城の中だけど」 「迷子になりそうだな」 凱と楓も嬉しそう こうして、長い俺達の旅は終わった 隣には夢にまで見た奏が居る これは夢じゃないんだ だって、髪を撫でてくれる奏の手はとても温かい から… 神様…ありがとう
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