王子と奏

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目が覚めたのは朝早くだった 裸の二人とシーツの乱れが、現実を物語っていた 「空…大丈夫?」 『うん』 「後悔してる?」 『凱は?』 「わからない…もし、空が悩んだり自分を追い詰めたりするような事になったら後悔するかもな」 『大丈夫…』 「そっか」 凱の腕の中はやっぱり 安心出来た 『これからどうしよう』 「だよな…」 『でも、このままここにいたら、奏や楓を騙し続ける事になるんだよね』 「そうだよな」 もし 奏と楓がこの事を知ったらどうなるんだろう 死刑かもしれない 信頼していた友達に 愛する人を奪われたようなものだから 『日本に……帰りたい』 「空…お前いいのか?」 『だって、俺達は秘密を持ってしまったんだよ?』 「まぁな」 『昨日は凱に抱かれて、今日は奏……なんて出来ないよ』 「俺も無理だな」 ホントは部屋からも出たくなかった また、自分が惨めになりそうで… 「空雅、起きてる?」 サシャだ! 慌ててシャツを着て、シーツを直す 凱はバスルームに隠れた 何故そんな事をしなければいけないんだろう 普通にしていれば いいだけの事なのに 秘密を持った二人は 無意識に離れた 『どうぞ』 「ごめんなさい、寝てた?」 『うん、でも起きるところだったから』 「そう」 『どうしたの?』 心臓が早くなるのがわかる 「王子達が…」 バレた…? 心臓が悲鳴をあげそうだ 『うん、何?』 声は震えていないだろうか? 「馬で島を案内したいって言ってるんだけど」 『馬で?』 「ええ」 乗馬なんか出来ないのに 『でも、俺乗馬出来ないし』 「それなら大丈夫よ、 王子達が教えてくれるから」 『そっか…』 ホントはやりたくなかった やっぱり俺にはここでの暮らしは馴染めない そう 思ったんだ…
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