プロローグ

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  陽もすっかり暮れて、辺りは暗闇になっていた。 明るいのは、街灯が道路を照らすほか、民家の明かりぐらいだ。 そんな民家の屋根に、1人少女が立っていた。ポニーテールにした腰まであるその長い髪が風にあおられ、フワフワと浮いているように見える。 袖の長い着物の上に袖無しの着物。それが、膝上まである。少しデザインの変わったブーツが足を包んでいる。 「………………!」 少女は何かに気づきそう呟くと、屋根を蹴って空中の中を飛んだ。 「……」 口元がわずかに動く。しかしその声は風にかき消された。 その瞬間、少女の姿は忽然と消え辺りは静寂に包まれた。  
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