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「少なくとも、私は龍一とその力に助けられたのだから、多分良いことなのでしょう。」
咲良が微笑んで言った。
龍一はそんな咲良を見て、
「そう言えば、咲良ってどこに住んでんの?」
と聞いてみた。
対する咲良は
「……え、あの……寝泊まりしてるとこは、ありませんけど………」
と戸惑いながらいった。
「家とかないの?」
「もともと人前に姿を見せるつもりはありませんでしたし、この桜の木の上で寝ていましたしね。」
「そ、そうなんだ………。」
「でも、どうしてそんなことを………。」
「いや……咲良に僕が通ってる学校に行ってみないかって誘おうとしただけだよ。」
途端に咲良が涙目になった。
「りゅ……龍一……!?」
「大丈夫。うちの学校は、そんなイジメとかないし、何かあっても僕が咲良を守るから。」
「で、でも……」
「それに一緒に行動してた方が、お互い安心だろ。ストロージーが言うには、僕も咲良も狙われているみたいだし…………」
咲良はしばらく黙っていたが、わずかにコクッと頷いた。
龍一はそれを見て、ニッと笑った。
「よしっ!じゃあ、あとは泊まるとこだな。他に行くとこないんなら、うちに泊まるか?」
「でも、龍一のご家族の方に迷惑ではないのですか?」
「ああ、その点は大丈夫。僕の母さんは性格いいし、それに咲良は僕を助けてくれただろ。命の恩人が困っているのに、迷惑なんかかからないよ。
妹の彩香だって、きっと喜ぶぜ」
と言うわけで、咲良は水島家に居候する事になった。
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