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だから……、と咲良はクレディアに笑顔を見せた。 「フロージーに勝てました。全部、あなたのおかげです。」 「…ふん。お前のそんな笑顔を見るのは、初めてだな。最初に会った時は、あんな嫌そうな顔だったのにな……。」 クレディアは照れた顔を隠すかのように、そっぽを向いた。思えば咲良もこんな穏やかなクレディアを見るのは、初めてだった。 「私……、生きます。あなたが救ってくれた命、大事にしますから。」 「ここから、生きて出られると思っているのか…?」 「可能性は低い。……でも、ゼロじゃない。だったら私は奇跡を信じて、その可能性に賭けます。……私はあなたと違って、後先考えずに行動する単純な人ですから。」 咲良はクレディアに背を向けた。白い世界はどんどん消えていく。それは、その分だけ奇跡が起こる確率も低くなる印だ。 それでも咲良は最後に、どうしても聞きたいことがあった。あの日から、ずっと気になっていたこと。 「クレディア…最後に1つ聞いてもいいですか…?」 「………ん?」 「あなたは、どうしてあの時負けを認めたのですか?」 あの時――咲良がクレディアを支配しようと戦った時のことだ。 「あの勝負は、明らかにあなたの勝ちでした。あのまま私を支配することも出来たはずです。なのに、あなたはしなかった。……その理由が、どうしても聞きたいのです。」  
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