63人が本棚に入れています
本棚に追加
†††
暗くてよく見えないが、白いタイルが並べられた天井が見えた。
どれくらい、それを見つめていたのか……。
ここはどこなのかと、他の情報を見ようとしたが、体も頭も動かなかった。声も出せなかった。
唯一動かせる眼をキョロキョロさせ、天井以外を見る。
ふと視界のすみで何かが動いている。わずかに動かせた頭をそちらに向けた。
(………龍…一……。)
イスに座り、うなだれていた。その頭が、こっくりこっくりと、上下に動いているので、おそらく寝ているのだろう。
(…私、帰ってこられたの……かな…?)
咲良はようやく、それを理解した。これが“奇跡”なのかどうか、判らない。
さらに周りを見ると、点滴や床頭台があった。どうやらここはどこかの病院のようだ。
と、言うことは、咲良たちはやっぱりフロージーに勝ったのだ。龍一は無事のようだが、他の人たちは大丈夫なのだろうか?
「…んんー……!! ふあぁぁ…」
龍一が背伸びして、眠たいまぶたをこすった。
「………ぁ……。」
「……え?」
最初のコメントを投稿しよう!