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「……とまあ、そんなもんかな。だいぶ町も直ってきたから、咲良を隣町の病院に入院させて、みんなで交代して咲良を見てるってとこだ。まあ、医者に頼んで特別に、だけど……。」
「龍一は今、どこで生活しているのですか…?」
「今は、隣町に建ったアパートを借りて彩香と暮らしてる。学校もそこにあるとこに通ってるしな。」
「あの……。お母様…のことは…。」
躊躇いながらもそれが気になって、咲良は聞いてみた。龍一は少し寂しそうな顔をして答えた。
「このあいだ葬式をあげたんだ。今は近くのお墓にいるけど……。」
「そう……ですか…。本当にすみませんでした……。」
「咲良のせいじゃない。聞いたんだけどな、母さんは最初の地震でバランスを崩し、タンスの角に頭を打っちゃったらしいんだ。それが打ち所が悪かったみたいで、咲良が下に降りた時にはもう、ダメだったんだ……。だから、咲良は悪くないんだ…。」
「……………。…龍一、動けるようになったら…、私もお墓参りに行ってもいいですか…?」
「…もちろんだ。母さんも喜ぶよ、絶対。」
それより…、と龍一は不安な表情を見せた。
「咲良、体は大丈夫なのか…? どっか痛いところとかは……」
咲良は、フッと笑みを見せて答えた。
「……長い間眠っていたのか、体が麻痺しているのか判りませんが、痛みは全然ありませんね。まだ、動かせませんけど…。」
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