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「おぉーい、水島くーん!」
「龍一、遅刻ですよ。寝坊でもしたんですか?」
「あはは! じゃあ、龍一くんは罰ゲームだね。何にしよーかなぁ……。」
汗だくの龍一に、みんなでからかう。額の汗を手の甲で拭い、咲良たちをにらむ。
「…うるせっ…。ちょっと、準備に手間取っただけだって…。」
「でも、彩香ちゃんは鈴音たちより早く来てたよ。」
「えへへ……」
鈴音が不思議そうな顔で龍一を見上げる。隣では彩香が舌を出して、笑っている。
「…彩香、なんで起こしてくれなかった……?」
「彩香、ちゃんと起こしたもん! お兄ちゃん、ふわぁい、とか言ってまた寝るから、つい……」
「つい、置いてきたってワケか…」
「まあ、そんなに遅れてないし、早く行こーよ! 海だよ、海!!」
雫がはやる気持ちを抑えきれず興奮している。
「高校生最後の夏休みなんだから、しっかり遊んどかないとね。…あ。それと、遅くなったけど咲良の復帰祝いも兼ねて。」
麻里が微笑みながら言う。
あの事件のせいで、勉強が大幅に遅れをとったため、高校1年の分の学習を高校2年でまとめてやったのだ。そのおかげで、龍一たちには夏休みも冬休みもなし同然であった。
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