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永倉は先ほど花魁を抱いた部屋の前を通過しようとする。
すると部屋から、先ほどの花魁が出てきた。
つい、永倉はその場に固まってしまう。
「「…」」
気まずくなった雰囲気を見かねて、花魁が口を開く。
「永倉はん…
お帰りどすか?」
「…あぁ。
悪いが急いでいるんだ」
花魁は悪くないと分かっているのに、罪悪感から冷たく返してしまう。
「…そうですか。
くれぐれもお気をつけて…」
永倉は一つ頷くと、一度も花魁を見ようとせずに、島原を出て行った。
そのため、花魁がどんな表情をしているかなんて、永倉は知る由も無かった。
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