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「この騒ぎは何だ!!」
その声の気迫により、辺りは静まる。
「土方さん…」
永倉が呟くと、土方は隊士達の中心に永倉がいることに気付いた。
「永倉…
なぜここに?
こんな騒ぎを起こして、どうしたんだ?」
「…騒ぎを起こしたのは、俺ではないです。
俺に"どうした"と聞くくらいなら、隊士に言ってください。
俺は大切な奥さんに会うために、その部屋に向かっているだけです」
永倉の言葉に、土方の表情は強張った。
「…翔がどこにいるのか分かったのか?」
「はい。
分かりました。
それに、土方さんが翔の居場所を隠していたこともね」
永倉は殺気を出しながら土方を睨む。
土方は思わず唾を飲み込んだ。
「まぁ、今はそんなことどうでも良いですけどね」
永倉はそう言うと、呆然と立ち尽くしている隊士達の間を通り抜けて、土方が止めるのも聞かずに歩き始めた。
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