夏の終わり

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いつものように   二人で歩く帰り道   今日あった楽しかった事   悲しかった事   些細なことを話しあう   笑ったり怒ったり   そんないつもの日常             空が赤く薄く色付き始め   オレンジ色に変わった海を横目に   僕らはふと足をとめ                 「ちょっと海でも見ていこうか」                   僕は何気なくそう言った   コクンと頷いた君を   優しく導くように手を引いて歩く       少し後ろを歩く君   時々振り向いて君の顔を眺めると   僅かに緩んでいるように見えた口元に   僕の胸はほんわりと暖かくなった           防波堤に腰を落として   オレンジ色から赤へと変わる空を   ただ、ずっと   手を握りしめながら   二人で静かに眺めていたね   僕らが出会って   恋に落ちた日から   いつくもの季節が通り過ぎていった   泣いたり   笑ったり   そんな一つ一つの時間が   とても愛おしい               君がこんなに近くにいることが   君の体温を   直接感じることができるこの距離が                 凄く                   凄く                      嬉しいんだ
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