夢のお話

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   そしてついに『先生』はその技を披露することになった。    長距離バスの狭い通路で(笑)   「では先生。これを……」     弟子の一人が恭(うやうや)しく『先生』に差し出したのは、みかんを横から半分に切った物だった。    つまり、みかんの上半分が無いと思っていただけたら良い。    それで一体何をするのかと、静まりかえった空気の中で見守る乗客達。   『先生』は手渡された半分のみかんを床に置くと――静かに――実に静かに、みかんに乗ったのである。    驚いたことに、みかんは潰れもしなければ、汁さえ出てはいない。   「ほぅ……」    乗客から感嘆のため息が漏れる。    ふんどし姿の『先生』は、どうやら『みかん乗りの達人』だったらしい。(そんなものがあるかぃ)   「先生、私もチャレンジいたします」    タムケンスタイルの弟子の一人が、スクッと立ち上がり、みかんを床に置くが早いか、いきなりその上に乗った。    たちまち、みかんは潰れ、みかんの汁が飛び散った。    なんと弟子は、断面を下にして床に置いたのだ。    そこで『先生』が一言。   「それは……それは君、禁じ手だよ……」     『禁じ手』というワードが、ドつぼにハマった私は大爆笑。    だってだって、私、生まれてこの方『禁じ手』なんて言葉使ったことなかったし。  ふんどし姿の老人が、こんなくだらないことをさも重大そうに『禁じ手』だなんて。    しかも『先生』に叱られた、ブリーフ姿の弟子は悲しそうな顔で、汁がピューピュー出ているみかんの上に乗ってるし……(笑)   『禁じ手、禁じ手、禁じ手……』    私の頭の中で『禁じ手』という言葉がこだまする。   「アハハハハハ……ヒィ~、ヒィ~、アハハハハハッ」    こうして私は自分の笑い声で目覚めたのである。    すみません。    やっぱりうまく伝わりませんでしたね。    お詫びに今回は、イラストアップします。image=206448992.jpg
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