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それからどのくらいたったのだろうか。頭を抱えて蹲っていた俺は、恐る恐る顔を上げて教室を見渡し、今なにがおきたのか混乱する頭で考えた。
割れた窓は俺から少し離れたところだった。その周辺の床にはガラスの破片が飛び散っていた。
「…いつものところで描いてたら……」
俺はいつも、先程割れた窓の近くから外の景色を見ながらスケッチしていた。でも今日は、自由に好きなもの描こうと思い、窓からは離れた所で絵を描いていた。
もし、いつもの様に窓際にいたら、と考えるとすごく怖かった。
「……震えがとまんない…」
恐怖からか、身体が震えてきた。
この事を先生に伝えなきゃと立ち上がろうとするが、足も震えて立ち上がることができなかった。
美術室は三階の一番端にある教室。それに今日は土曜日で、部活に来ている生徒以外はいない。
きっと美術室でおきた事はまだ誰も気付いてはいないだろう。
「……どうしよ」
震えが中々とまらず、俺はずっと自分を抱き締めていた。
そんな時だった
――ガラッ
「やっちゃっ…た…」
「!?」
教室のドアが開かれ、入ってきた男と目が合った。
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