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『まぁ雛形とは同じクラスメートってだけであまり交流もなかったしよッ、同じ町内に住んでても今はクラス会でチョコリと顔合わせるくらいだから…』
孝輔は流れる汗を必死に拭いていた…
『最近思い悩んでたとかない?』
『最近ったってよ、顔合わせたのが確か一年以上も前だし…』
孝輔は腕組みをしながら視線を宙に泳がせていた…
『…そっか…じゃ、じゃ誰かに恨まれてる…と…か…アハハ』
猛は自分が必死になっている姿に思わずヒイてしまった…
『…おい猛ッ、何かお前刑事みてぇだなッッ、名探偵コナンかっつぅんだッッ!』
(コナンは探偵だっつぅの……タハハ)
猛は少し天然の入った父孝輔を見て何とも言い難いため息をついた…
『あ…そいやぁ確かこないだのクラス会でちょこっと話してたの聞いたナァ~…おぃ貴子枝豆ッッッ!』
『えッ、何何ッッッ!?』
猛は思わず身を乗り出した…それを聞いたからといって雛形の寿命が延長される訳でもないが今は雛形秀作に関するどんな小さな情報も逐一逃してはならない…猛は何故か自分にそう言い聞かせていた…
『長年連れ添った奥さんと離婚して今は一人で暮らしてるって言ってたような気がする、ウン…』
(奥さんと…離婚…)
孝輔は枝豆を掴むとパラパラと下品に口にいれこんだ…
『まぁ小学生の猛にゃ関係のねぇこった!なっ、ガハハハ…』
(離婚…けど離婚に思い悩んでる感じには見えなかった、いや…そんな事敢えて人に見せる訳ないか…とすると…あ~ん解んないッッ、雛形さんが25日後いったいどんな形で人生を終えちゃうんだろ…)
猛は頭が混乱していた…それを癒してくれたのはある意味、目の前で枝豆を枝ごと踊り食うハイテンションの父孝輔の姿だった…
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