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『えぇ~ッッッ!さッ、再来月ってッッ、だって本屋のおじさんあと【20】日しか生きられないんだろッッ!?そんなの間に合わないじゃんかよッッ!』
『…そう、更に最悪なのは樹里ちゃんは今アフリカに住んでるらしいんだ…雛形さんとそう簡単に逢える距離じゃない…でッッ、僕もホラこうして困ってる訳…』
家に帰り雛形の事の次第を猛は賢太に全て話をした…猛は腕組みをしながら机の角をじっと眺めていた…
『ねぇ兄ちゃんこれならどうッッ!本屋のおじさんにみんな事情告げて樹里ちゃんの帰国早めてもらったら?』
『はぁ?何言ってんの賢太…雛形さんに何て説明すんのさッッ、《あなたは後20日の命ですッ、だから再来月の娘さんの帰国まで寿命が持ちませんッ、だから今すぐ樹里ちゃんを日本に連れ戻して下さいッッ!》…とでも?それこそ僕は気違いの笑い者、サーカス行きだよッッ!』
『じゃさ、じゃぁ兄ちゃんあの親子このまま放っておくのかよッッ!…おじさんの寿命を見てしまった以上兄ちゃんにも少なかれ責任あんじゃないの?放置プレイはやっぱり…』
『…べ……別に僕だって見たくて見た訳じゃないよ…けど雛形さんいい人だしやっぱり寿命を知ってしまった以上責任逃れなんてしたくないし…何とかしてあげたいのは山々だよ…』
賢太は難しい顔で頭を掻き、そうだった、ゴメンと猛に謝った…
『寿命…延ばす超能力とかないのかな?…見れるんだから延ばす事だって…』
賢太がポソリと呟いた…
『…寿命ってのはその人の運命みたいなもんだからな…それこそ《神様への冒涜》?…あってる言葉?…』
猛はやり切れない気持ちのまま静かに目を閉じた…瞼の裏にはいつまでも雛形の笑顔と写真に写る樹里の笑顔が残像のようにへばり付いていた…
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