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『何て説明したらいいのか解んないんだけど…僕…人の寿命が見えるんだ…その人があと何日生きれるのか、額に現れる寿命の数字を読み取る力があるみたいなんだ…』
『…寿命……かぁ…寿命…』
雛形は一瞬不愉快そうな表情をしたがすぐまたいつもの笑顔に戻った…
『おじさん僕の話し、信じて…くれるの?』
『…あぁ…信じる…勿論信じるよッッ…』
雛形の意外な言葉に猛は戸惑いを隠せなかった…馬鹿な事を言うな縁起でもないッッ!と一喝されるのがオチだとタカを括っていた猛にとり雛形の反応は余りにも肩透かしだった…
『そっか…もうあと15日しか生きられないのか私…』
『…そう、だから…再来月の樹里ちゃんの帰国を待ってちゃ手遅れになるんですッッ、末永く一緒に暮らすって夢は叶わないけど…だけど…せめてあと15日の間に何とかして樹里ちゃんにッ、娘さんに一目逢ってあげて欲しいと思いますッッッッ!』
猛は奮えを堪えながら渾身の力で頭を下げた…そうする事で何としても自分の思いを信じて欲しい、猛は暫く頭を上げずにじっと雛形の反応を待っていた…
『寿命…15日…そっか…そっか…』
(……お願いッッ、僕の気持ち届いてよッッ、クッ…)
『…帰ってくれ…』
『えッッ!?』
『!ッッッ、聞こえなかったのかッッ、帰れって言ったんだッッッ!帰れ小僧ッッ、二度とくるなッッッ、来るなッ、来るナァァァッッッッッ!』
次の瞬間雛形の表情はみるみる豹変し、猛の肩を力いっぱい突き飛ばしていた!
『おッ、おじさんッッ!』
『寿命が解るだぁ、ふざけるなッッ、何だかんだ言って私を混乱させる作戦かッッ、さてはお前桐子の差し金かッッ!?道理で子供のクセに演技が上手いと思ったんだッ、けど私は騙されないぞッ、樹里は私をッ、この私と一緒に暮らす事を選んだんだッッ、今更返せなんて虫が良すぎるんだッ、さぁ帰れッ、二度と私の前に現れるナァッッッッ!』
『お…おじさんッッッ!』
猛を突き飛ばした雛形は涙を浮かべながら店のシャッターをガシャンと閉めてしまった…
(おじさん…クッ…クッソォォォォォッッッッ!)
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