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(人間の寿命が解る奇異な超能力…それがどうした、それが何の役に立つってんだッッ!こんなの人の悲しみを見せつけられるだけのただのガラクタ超能力じゃないかよッッッ!)
猛は公園のブランコに腰掛けながら思い切り側の小石を蹴り上げた…小石は小さな軌道を作り茂みの中に消えて最後にカツンと音を奏でた…
(チキショッ、チキショッ、チキショチキショチキショチキショッッッッッ!)
猛の胸の中はただならぬ失望感と後悔心に苛まれていた…あんな余計な事しなきゃよかった…そうだよ、所詮アカの他人の寿命なんて僕には何にも関係ない事なんだッ、放っておけばいいんだ…
『よぅ猛じゃんッ、いいとこにいたな、金貸せよッ…』
中学校の不良グループが猛に近付いた…猛は今それどころではない、ぶつけようのない激しい怒りと葛藤が猛の身体中を支配していた…
『おぃ聞こえなかったのかよッ、金か……』
『!ッッ、うッ、うるさい【3890】のクセに偉そうばるなッッ!お前の人生なんか所詮あと10年そこそこだっッッッ!』
『はぁ?…【3890】ぉ?何言ってんだぁコイツ…?』
猛は不良グループに散々殴られると財布を取られてその場で蹲って動けなくなってしまった…
(ちッ…チキショ…ど、どいつもこいつも…ハアッ、ハアッ…僕を…馬鹿にし、しやがってぇッッッッ!寿命…寿命なんて…糞喰らえだッ、みんな…みんな明日死んじまえッッッッ!)
公園の闇夜に陰を作り猛はその場から離れる事なく暫く涙が枯れる程泣いていた…
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